マウスピース矯正ですきっ歯は治せる？治療期間や費用、注意点を解説

鏡を見るたび
「前歯のすき間が気になる 」
「笑顔になると、歯の隙間が見えていないか不安になる 」
「人前で話すとき、相手の視線が口元にいくような気がする」
などのお悩みがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

すきっ歯は見た目のコンプレックスになりやすく、笑うことにためらいを感じたり、発音がしにくかったりと、一人で悩みを抱えている方は少なくありません。 

ここでは、マウスピース矯正でのすきっ歯治療の仕組みや、期間、費用の目安、注意点まで詳しく解説します。

すきっ歯とは

すきっ歯とは、歯と歯の間にすき間ができている状態のことを指します。
前歯の間が開いていることが多いため、見た目に影響しやすいのが特徴です。
特に真ん中の前歯の間が空いているものを正中離開といいます。

原因には、歯と顎の大きさの不調和、上唇小帯の位置異常、舌で歯を押す癖、口呼吸などが挙げられます。発音がしにくくなったり、食べかすが詰まりやすくむし歯や歯周病のリスクが高まることもありますが、矯正治療や補綴治療で改善が可能です。

すきっ歯になる主な原因

歯のサイズが小さい、または顎が大きい

歯の大きさに対して顎のスペースが広すぎると、歯が隙間なく並びきらず、自然とすき間ができてしまいます。特に日本人では歯が小さめの方が多く、全体的に空隙が生じやすい傾向があります。

歯の本数が少ない、多い

永久歯が生まれつき欠けている場合、その周囲の歯が動かずに空間が残ることがあります。こうしたケースでは、矯正治療とあわせて補綴治療などを組み合わせる必要が生じることもあります。

また、上の前歯の裏側や顎の骨の中に埋伏過剰歯（まいふくかじょうし）が隠れている場合、周囲の歯を押すように力がかかり、前歯の位置がずれてしまうことがあります。その結果、前歯の間が開いて隙間が生じるケースもあります。

上唇小帯付着異常

上唇と歯肉をつなぐ筋、上唇小帯が前歯の間に深く入り込んでいると、歯が離れたままになり、中央のすき間（正中離開）の原因となります。この場合、小帯の位置を調整する小帯切除術を行った上で矯正を進めると、再発を防ぎやすくなります。

舌癖や口呼吸など

舌で歯を押す舌突出癖があると、前歯が押し広げられてすきっ歯が進行することがあります。また、口呼吸が習慣化すると、唇の閉じる力が弱まり、歯が前方に傾きやすくなります。

マウスピース矯正でのすきっ歯治療は可能？

マウスピース矯正の仕組み

マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を数週間ごとに交換しながら歯を少しずつ動かしていく治療法です。装置は薄く、見た目にもほとんど気づかれません。取り外しができるため、食事や歯磨きも快適に行えます。

▶ マウスピース矯正についての詳細は、「マウスピース矯正のメリット・デメリットを徹底解説！治療の向き・不向きチェックリスト」をご覧ください。

すきっ歯にはマウスピース矯正が向いている理由

すきっ歯は、歯を動かす距離が比較的短いため、マウスピース矯正で対応しやすい症例の一つです。軽度のすきっ歯であれば、部分的な矯正で改善できることもあります。

ワイヤー矯正ほど大きな力をかける必要がないため、痛みや不快感が少なく、日常生活への支障も最小限に抑えられます。

対応できる範囲

ただし、骨格的な問題や歯列全体のズレが大きい場合は、マウスピース単独では難しいケースもあります。その場合は、部分的にワイヤー矯正を併用することもあります。

すきっ歯治療の流れ

ここでは、一般的なすきっ歯のマウスピース矯正の治療の流れを説明していきます。

カウンセリング・検査

まずは、カウンセリングで現在の悩みや希望をヒアリングします。

「前歯のすき間を閉じたい」「自然な仕上がりにしたい」「短期間で治療を終えたい」など、イメージを共有することが大切です。

その後、口腔内スキャンやレントゲン撮影、必要に応じて写真撮影を行い、歯列全体のバランス、骨格の状態、噛み合わせを確認します。すきっ歯の原因が歯のサイズや癖によるものなのか、あるいは骨格や筋の影響によるものなのかを診断し治療法を選択します。

原因によっては、舌の使い方のトレーニングや、上唇小帯の処置を先に行うことで、治療効果を高め、後戻りのリスクを減らすことにも繋がります。

治療計画の立案

検査結果をもとに、3Dシミュレーションで歯の動き方を確認します。

どの歯をどの方向にどの程度動かすのか、そして最終的にどんな歯並びになるのかを、立体的な映像で確認できるため、治療後のイメージを具体的に持つことができます。

歯科医師からは、治療にかかる期間や使用するマウスピースの枚数、費用の目安、通院頻度などの説明が行われます。

もし気になる点があれば、この段階でしっかりと質問しておきましょう。治療計画に納得できたら、矯正治療がスタートします。

マウスピースの作製、装着

歯科医師の指示に基づいて、マウスピースを作製します。

完成したマウスピースを装着し、実際のフィット感を確認します。

装着時間は1日20〜22時間が基本です。食事や歯磨きの時以外は常に装着することで、計画どおりに歯が動いていきます。数週間ごとに新しいマウスピースに交換し、歯を少しずつ移動させます。

治療中は、装着初日に少し圧迫感を感じることがありますが、1日〜2日で慣れる方がほとんどです。

経過観察

治療中は、1ヵ月〜2ヵ月ごとに通院し、歯の動き方やマウスピースの装着状況を確認します。

「計画どおりに動いているか」「装着時間が十分か」「歯肉や噛み合わせに問題がないか」などを細かくチェックし、必要があれば追加のマウスピースを作製して微調整します。

通院時には、歯の写真やシミュレーションデータを比較して経過を確認できるため、モチベーションを保ちながら治療を続けられます。

保定

すきっ歯が閉じて歯並びが整ったあとには、歯の位置を安定させる保定期間に入ります。

これは矯正治療の仕上げともいえる大切なステップです。

歯は矯正直後にまだ周囲の骨や歯肉が柔らかく、元の位置に戻ろうとする、後戻りが起こりやすい状態にあります。そのため、保定装置を一定期間装着し、歯の位置をしっかり固定します。

保定期間は矯正期間と同程度目安ですが、症例によっては就寝時のみ装着を続ける場合もあります。

保定期間をしっかり守ることで、きれいな歯並びを長く維持でき、見た目も機能も安定した状態を保つことができます。
▶ 保定期間については、「インビザラインの治療期間・保定期間について」をご覧ください。

治療期間と費用の目安

治療期間の目安

すきっ歯のマウスピース矯正は、比較的短期間で改善できることが多いです。

歯列全体を整える必要がある場合は、1年半〜2年程度かかることもあります。

費用の目安

マウスピース矯正の費用は、装置の種類や治療範囲によって異なります。

▶ マウスピース矯正についての詳細は、「マウスピース矯正のメリット・デメリットを徹底解説！治療の向き・不向きチェックリスト」をご覧ください。

医療費控除の対象になる？

マウスピース矯正は、審美目的ではなく歯科医師が噛み合わせの改善などの機能的な問題を解決するのために必要と場合、医療費控除の対象になることがあります。治療目的であることを明示できる領収書や診断書を保管しておきましょう。

マウスピース矯正で気をつけたい注意点

装着時間を守ることが大切

マウスピースは長時間装着して初めて効果を発揮します。外している時間が長いと歯が元に戻ってしまい、治療期間が延びてしまいます。

飲食時は外す

装着したまま飲食をすると、マウスピースが変形したり、着色、臭いの原因になることがあります。水以外の飲み物を摂る時は必ず外しましょう。

マウスピースの清掃を習慣に

装置は毎日清掃が必要です。流水で洗い流したり、専用の洗浄剤を使用したりすることで清潔に保てます。汚れを放置すると虫歯や口臭の原因になります。

舌癖、口呼吸の改善も大切

舌で歯を押す癖や口呼吸が残っていると、せっかく治した歯並びが後戻りすることがあります。必要に応じて、口腔筋機能療法で舌や唇の使い方を改善します。

マウスピースとすきっ歯についてよくある質問 

すきっ歯は自然に治ることはありますか？

軽度のすきっ歯であっても、自然に閉じることはほとんどありません。特に永久歯が生えそろったあとにできたすき間は、放置しても改善しないケースが多いです。成長期の一時的な歯列変化を除けば、矯正治療によるアプローチが必要になります。

マウスピース矯正は痛くありませんか？

ワイヤー矯正に比べると、マウスピース矯正は痛みが少ないのが特徴です。歯を少しずつ動かすため、装着初日や交換直後に軽い締め付け感を感じることがありますが、通常は1日〜2日で慣れる方がほとんどです。食事中は取り外せるため、噛む時の痛みも少なく快適です。

治療中に話しづらくなったりしませんか？

装置は非常に薄く、慣れると会話にほとんど支障はありません。初めの数日は少し舌が動かしづらく感じることがありますが、数日で自然に話せるようになります。職場や学校でも周囲に気づかれにくい点がマウスピース矯正のメリットです。

マウスピース矯正ですきっ歯が再発することはありますか？

矯正後に保定装置をきちんと装着すれば、すきっ歯が再び開く可能性を下げることができます。ただし、舌で歯を押す癖や口呼吸などの悪習慣が残っていると後戻りが起こることがあります。治療後も舌や唇の使い方を意識し、必要に応じて口腔筋機能療法を行うことが大切です。

すきっ歯のマウスピース矯正に保険は使えますか？

基本的にマウスピース矯正は自由診療となり、保険は適用されません。ただし、噛み合わせの改善、発音の改善など、機能を改善する目的として行う場合は医療費控除の対象になることがあります。領収書や診断書を保管しておくことで、確定申告の際に一部の費用が控除される可能性があります。

まとめ：すきっ歯はマウスピース矯正で改善できるケースがある

すきっ歯は、軽度であればマウスピース矯正で十分に改善が可能です。

透明で取り外しもできるため、仕事や学校生活の中でも無理なく続けられます。

ただし、原因によっては別の治療が必要になることもあるため、まずは歯科医院で精密検査とカウンセリングを受け、、ご自身の歯並びの状態を正確に把握することが大切です。

マウスピース矯正は見た目をきれいにするだけでなく、噛む、話すといった口の機能を整える治療でもあります。
ご自身のすきっ歯がマウスピース矯正で治療できるか、まずは専門の歯科医師に相談してみましょう。

当院は無料カウンセリングを実施していますので、お気軽に問い合わせください。